日中外相会談(概要)
平成22年7月22日
岡田外務大臣は、22日13時40分から約55分間、ASEAN関連外相会議に出席のために訪問中のベトナム・ハノイにおいて、楊潔篪中国外交部長との間で日中外相会談を行った。
1.日中関係
(1)日中関係総論
岡田大臣から、冒頭、中国南部での水害被害に対する見舞いを述べるとともに、先般の温家宝総理の訪日を始め、これまでの日中ハイレベル間の頻繁な意思疎通を評価し、菅政権でも日中関係についての考え方は変わっていない、今後予定されている第三回日中ハイレベル経済対話、横浜APECをはじめしっかりと準備していきたい旨述べた。
楊部長からは、岡田大臣の発言への賛意が示されるとともに、上海万博において日本館が多くの参観者を集めていることに対する祝意が述べられた。また、楊部長から、第三回日中ハイレベル経済対話を重視しており、積極的な成果を得るべく準備していきたい旨述べるとともに、横浜APECに胡錦濤国家主席が参加する旨述べた。
また、楊部長から、菅総理が、早期に双方の都合の良い時期の訪中を歓迎したい旨発言があり、岡田大臣からは、菅総理に伝えたい旨述べた。
(2)海洋に関する問題
岡田大臣から、温総理訪日の際に国際約束締結交渉の開始で一致したが、7月27日に東京で第一回交渉を行うこととなったので、中身のある議論を行い、早期妥結できるよう共に努力したい旨述べた。
また、併せて、日中SAR協定締結交渉、海上での危機管理メカニズムの創設等、海洋分野での協力について意思疎通が行われていることに言及し、様々な懸念すべき事案はあるが、東シナ海を「平和・協力・友好の海」とするとの考え方に基づき、今後、当局間での信頼醸成を進めていきたい旨述べた。
楊部長からも、日中SAR協定については、7月20日に良い交渉が行われたと報告を受けている、東シナ海資源開発についても交渉が良いスタートを切り、早期に妥結したい旨述べるとともに、海上での危機管理メカニズム創設も非常に重要であり、進展を得ることを希望している旨述べた。
2.地域と国際の問題
(1)北朝鮮問題
岡田大臣から、韓国哨戒艦沈没事件について、国連安保理は明確なメッセージとして議長声明を発出した、北朝鮮が真剣に耳を傾け、前向きな対応をとることが重要である旨指摘した。
また、岡田大臣からは、今後の取組の目的は六者会合の再開自体ではなく、北朝鮮として真剣に六者会合共同声明における自らのコミットメントを履行する意思を有することが、明確に確認されることが大事である旨指摘した。
楊部長からは、中国は朝鮮半島と北東アジア地域の平和と安定を維持するとの観点から対応してきている、六者会合の再開を含め、日本側と常に緊密に意思疎通をしながら進めていきたい旨述べた。
(2)国連安保理改革
岡田大臣から、21世紀の国際社会を代表するにふさわしい正当性を備えた安保理を早期に実現する必要がある、我が国は安保理改革に関し、政治的機運を高めていく考えであり、中国とは大局的視点から建設的な協議をしていきたい旨述べた。
楊部長からは、国連安保理が必要で合理的な改革が行われることを支持する。本件について日本側との建設的な接触を維持していきたい旨述べた。
(3)地域協力等
楊部長から、日中韓FTA の共同研究が早期に進展することを希望する旨述べるとともに、地域の一体化、統合の問題については、誰がイニシアティブをとったかではなく、現実的な立場から推進していきたい旨述べた。
岡田大臣からは、日中韓FTAについてはこれを是非推進したい旨述べた。
●外務省プレスリリース