日中韓首脳会議(概要)
2010年10月29日
10月29日、ベトナム・ハノイで日中韓首脳会議が開催された(出席者:日本:菅総理、前原外務大臣、大畠経済産業大臣、福山内閣官房副長官他、韓国:李明博大統領(議長)他、中国:温家宝国務院総理他)ところ、概要以下のとおり。
1.三国間協力
1. (1)三か国の首脳は、三者間協力事務局設立協定の交渉の進展を歓迎。
2. (2)貿易・投資については、日中韓投資協定の早期実質合意に向けて協力していくことを確認すると共に、日中韓FTA産官学共同研究については、2012年までを目処に共同研究をまとめるべく、協力を進めていくことで一致。
3. (3)環境について、菅総理から本年の第12回日中韓三か国環境大臣会合で採択された協力優先10分野に関する行動計画の実現に向けて中韓両首脳の指導を要請し、大型クラゲによる漁業被害の問題についても、三か国で取り組みたい旨発言。
4. (4)人的交流について、菅総理から「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」を紹介するとともに、三国間の大学間交流強化構想である「キャンパス・アジア」について、来年3月の三か国の共催によるシンポジウムに向けた支持を要請。
2.地域・国際情勢
1. (1)G20ソウル・サミットとAPEC首脳会議について、会議の成功に向けて三か国で緊密に協力することで一致。菅総理から、APEC首脳会議については、アジア太平洋の将来像を共有し、地域経済統合と地域の成長戦略で具体的成果を出すべく、議長としての指導力を発揮する旨を説明。
2. (2)北朝鮮問題については、六者会合に関し、会談のための会談とするのではなく、成果を出すことが重要との点で一致。菅総理から、今後とも拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的解決と北東アジア地域の持続的な平和と安定のため、三か国で協力していきたい旨発言。
3. (3)気候変動について、菅総理からコペンハーゲン合意を踏まえ、すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際枠組を構築する新しい一つの包括的な法的文書の早急な採択を目指すべきであるとの我が方の立場を説明。
4. (4)菅総理から、レアアース等の資源の安定供給や貿易に関するWTOのルールの遵守などを通じ、強固な信頼関係を醸成することが重要である旨発言。温総理からは、中国では過度にレアアースを開発してきた,中国としては引き続き世界に対しこれを提供していきたいと思うが、持続可能な発展のためには、生産、輸出においてWTOに反しない管理政策をとるつもりである、一方、中国国内の需要も非常に大きくなっているので、他の消費国と協力して共同開発や代替資源の開発に努めたい旨発言があった。また、菅総理から、三か国が共有する海の安全確保は、重要であり、日韓、韓中の間では既に海上捜索救助協定が結ばれていることから、早期に現在交渉中の日中二国間の海上捜索救助協定を妥結し、三か国を取り巻く海の安全確保に向けて三か国で協力したい旨を表明。
3.最後に、菅総理から、来年は我が国が日中韓サミット及び外相会議の議長国であることを確認し、サミットの成功に向けた両首脳及び両国政府の変わらぬ協力を要請したところ、両首脳から来年の議長国である日本への歓迎が表明された。
●外務省プレスリリース