自動車や家電製品の生産に欠かせないレアアースが一段と高騰している。
ハイブリッド車の強力磁石に使うネオジムは、1ヵ月前に比べ約3割上昇。1年前に比べるとほぼ6倍になった。
主力生産国の中国政府が昨年以降、採掘規制を強化しているうえ、中国内の需要が伸び、輸出に回る量が減っているため。
東日本大震災で素材・部品不足に悩む日本の製造業にとっては悩みの種が増えた状況だ。
2011年3月下旬の国内商社と中国の生産者の取引価格は、ネオジムが1キロ220〜250ドルと2月下旬に比べ31%上昇。
磁石の耐熱性を高めるため添加するジスプロシウムは同33%高の700ドル程度。
液晶ガラスの研磨に使うセリウムも同26%上昇した。
レアアースの世界供給の9割以上を占める中国は、政府が資源保護のため、有力産地の同国南部で採掘許可の運用を強化している。
中国では自動車生産の拡大でレアアースの国内需要も増加基調だ。
「投機資金が流入している」(双日の資源化学品部)といい、中国内の価格の高騰が目立つ。
日本の商社などは米国や豪州からの調達を急いでいるが、供給体制が整うには時間がかかる見通し。
研磨材メーカーなど日本の需要家は「(価格高騰に伴って)積極的な購入を手控えている」(専門商社)。
ただ、一部には価格上昇と将来の供給懸念から生産拠点を中国に移す動きも出ている。
中国政府は2011年4月からレアアース生産者に課す資源税の額を10倍以上に引き上げるなど、資源保護の姿勢を鮮明にしている。
世界のレアアースの需要も増え続けており、一層の値上がりを予想する見方もある。
●中国稀土資源保護性政策再次加碼(中文)
●浙江発現価値700億稀土鉱(中文)
●双日プレスリリース
中国での採掘規制によりレアアース価格は1年で6倍に
Posted on 2011/04/08 12:55
2011/04/08 12:55
中国担当
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