7月22日、インドネシア・バリにて、約3時間、東アジア首脳会議(EAS)参加国外相協議が開催されたところ、概要以下のとおり
(議長:マルティ・インドネシア外相。我が国より松本大臣出席)
今回の外相協議では、全体会議及びリトリートの2部構成で行われ、各国より、米露外相の外相協議への初参加を歓迎する旨の発言があった。
1.EASのレビューと将来の方向性
(1)松本大臣より、今後のEASの方向性について、以下の点を指摘。
*優先5分野の協力を発展させるとともに、米露の参加を機に政治・安全保障分野の取組を強化すべきこと。
*EASを地域の共通理念やルールを確認・強化し、具体的な協力に繋げていく首脳主導のフォーラムとして育て、発展させていくべきこと。
*海上安全保障(国際法規の遵守、紛争の平和的解決等の海洋に関する基本的なルールの尊重)、不拡散(不拡散体制の強化に向けたコミットメントの確認)、民主的価値の共有(バリ民主主義フォーラムの活用)、防災(東日本大震災の経験を踏まえて、2012年に大規模な自然災害に関するハイレベル国際会議の開催を提案、第3回防災世界会議ホストの意図、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)への支援)、地域経済統合(東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)の検討プロセスの推進、連結性支援)、成長の質の向上(低炭素成長モデルを域内で推進するための国際会議の開催を提案)、人的交流(青少年交流や大学間交流の推進、「東アジア高等教育質保証国際シンポジウム」の開催)の各分野において協力を強化していくこと。
(2)参加国より、クアラルンプール宣言やハノイ宣言に基づき協力を推進していくべきこと、5つの優先分野(防災、教育、金融、エネルギー、鳥インフラエンザ対策)やCEPEA等を引き続き進めていくべきとの発言があった。
また、連結性、グローバルな感染症対策、環境・気候変動、人身取引等の新たな優先事項を特定すべきとの発言もあった。
参加国より、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の重要性、非公式教育大臣会合の成果への評価、今年後半に開催予定のエネルギー大臣会合、環境大臣会合への期待が表明された。
また、参加国より、経済統合を進める観点から、貿易自由化の取組だけでなく、金融分野の協力の重要性が指摘され、世銀・IMF総会の機会にEAS財務大臣会合を開催すべき旨の発言があった。
(3)また、海上安全保障、不拡散、防災等の政治・安全保障分野の取組を強化していくべきとの発言がなされた。
(4)防災については、オーストラリア、インドネシアから地域の防災協力に向けた提案が出されたことを踏まえ、各国より、迅速な情報共有、災害が起きる前の受け入れ・派遣体制整備の検討、AHAセンターの活用、ARF・ADMMプラスとの連携の必要性等が指摘され、今後専門家間で議論を行っていくべきとの方向性が示された。
(5)海上の安全保障については、参加国より、海洋に囲まれた東アジアにおいては、海洋の問題が重要であること、国際法規の遵守、航行の自由、紛争の平和的解決や海洋環境の保護、漁業等を含む具体的協力の推進の重要等が指摘された。
また、参加国より、中ASEAN間の南シナ海に関する行動原則宣言(DOC)の実施に関するガイドラインの合意についての紹介があった。
松本大臣よりも、国際法規の遵守や透明性の重要性等を指摘した。(なお、松本大臣は、今回の一連の会議において行動規範(COC)の早期合意への期待やCOCが作成されるまでの間、DOCガイドラインが着実に実施されることが重要であることを指摘した)
(6)11月の首脳会議で発出を予定している首脳宣言の要素についても率直な議論が行われ、引き続きよい文書の発出に向けて協力を続けていくことになった。
2.地域・国際情勢
(1)松本大臣より、北朝鮮について、今般の南北対話を歓迎しつつ、それが具体的な成果につながることを期待する旨表明するとともに、北朝鮮による六者会合共同声明及び関連安保理決議の誠実な履行を求め、拉致問題の解決に向けた各国の理解と支持を求めた。
(2)軍縮・不拡散・原子力安全についても議論が行われ、参加国より、東南アジア非核兵器地帯条約議定書への参加に向け関係国との交渉への意欲が表明された。
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外務省プレスリリース